【パーカーの歴史】フーディー、アノラックとの違いを含め徹底解説!

カジュアルファッションの必需品パーカーは、部屋着からオシャレ着まで、幅広い用途に使えるアイテムです。でも、パーカーと呼ぶ洋服には、よく考えるといろいろな種類があります。

スウェット素材のもの、ナイロンのもの、ダウンが入っているもの、それらが全部「パーカー」なことに、違和感を覚えたことはありませんか?その秘密は、言葉の歴史にありました。

そこで今回の記事では、パーカーというアイテムがどのようにして生まれたのか、その歴史について紐解いていきたいと思います。

似た言葉であるフーディやアノラックとの違いについても触れていますので、違いが気になっていた方はぜひ参考にしてください。

パーカーの歴史とは?

「パーカー」のもともとの語源を紐解いていくと、ロシア地方の「動物の皮」を意味する単語”Parka”に行き着きます。現在私たちが目にする、チャンピオンやシュプリームを代表とするスポーティなアイテムからは連想しにくい語源ですね。それもそのはず、パーカーが本来意味するのは、アザラシの皮などを縫い合わせた防寒用の衣服のことで、現在のそれとは大きく異なったものだったのです。

確かに冷静に考えると、私たちがパーカーと呼ぶのは、スポーティーなものに限りません。ダウンパーカーやマウンテンパーカー、パーカーベストなど、他のアイテムも含めてパーカーと総称しています。そこに共通するのは何か、それは「フード」の存在です。

パーカー=フード付きの衣服

日本においては、フードが付いている洋服のことをすべて「パーカー」と呼んでいます。その理由に定説はありませんが、おそらく最初に輸入されたフード付き衣服が防寒着だったのでしょう。

フードの付いた防寒着を見て、

日本人:(お、何だ?あの首に袋が付いた服は!)「あれは何ですか?」

外国人:「あれはパーカーですよ」

日本人:(なるほど、あの袋が付いているのはパーカーって言うんだな!)

といったような早合点があったのではないかと推察されます。

そのため、パーカーを幅広くフード付き衣服の名前として使っているのは日本だけです。一種の和製英語と言っても良いかもしれません。他の国でパーカーと言えば、語源通りの防寒具を指しますので、海外ショッピングをする際は要注意です。

フーディーとは?

 

 

スウェット素材で出来たスポーツ用途のパーカーのことを、海外ではフードの付いたスウェットシャツという意味で「フーデッドスウェットシャツ(hooded sweat shirt)」、略して「フーディー(hoodie)」と呼びます。このことを踏まえて、現在では日本のアパレル業界でもフーディーという呼び方が一般化してきました。

現状はセーターとニット、ジャンパーとジャケットのように、ごく普通のものは「パーカー」、オシャレなものは「フーディー」といったイメージで使い分けがされています。しかし、世界基準で見ればスウェット素材のものはフーディーと呼ぶのが正しいです。そのため、今後フーディーという呼び方は、日本でもより浸透していくことでしょう。

アノラックとは?

 


 

パーカーと似た用途の言葉に「アノラック(Anorak)」というものがあります。これはグリーンランドの言葉を由来とするものですが、グリーンランドはもともとエスキモー(イヌイット)が住んでいた場所。

アノラックは彼らの着る、動物の皮を縫い合わせた防寒着のことを指した言葉でした。つまりアノラックは、前述した本来の意味のパーカーとほとんど同じ意味の言葉なのです。

日本において、パーカーという言葉が防寒着だけでなく、本来フーディと呼ぶスポーツウェアも含めて使われるようになった結果、差別化のためにアノラックが使われ始めたのだと思われます。

そのため、現在では防寒用や雨除け、風除け用など、アウターとして使うフード付きアイテムのことを広くアノラックと呼ぶようになってきています。


まとめ

パーカーはもともとロシア語に由来する、防寒具を指す言葉でしたが、現在ではフードが付いた洋服全般を指す言葉として使われています。とはいえ、この現象は日本だけのもの。そのため、最近ではスウェット素材のものは「フーディー」、アウター用途のものは「アノラック」と別の言葉で呼ぶことも増えてきました。

今回ご紹介したことを参考に、パーカーの歴史を踏まえて、それぞれの呼び方を適切に使い分けていきましょう。




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