TシャツプリントDIY初心者に教えるインクの違い!

ハンドメイドブームはまだまだ右肩上がりで、先日行われた日本最大級のハンドメイドイベント

minneのハンドメイドマーケット』の様子が、僕のインスタのタイムラインにも上がっていました。
誰でも個人作家として気軽にデビューするのが身近になってきましたね。

モノづくりを突き詰めて行くと、”素材”へのこだわりを持たれる作家さんが多くいらっしゃいます。
僕の知人のとある主婦も、化学の専門家ではありませんが、樹脂の組成などから比較してUVレジンのアクセサリーなどを作っていました。色々と失敗した経験から、どのメーカーがいいだの、どんな組成がいいだの、、、

ところで、Tシャツのプリントは、ハンドメイド初心者でも入りやすい分野です。
過去のTshirt.stのイベントでも多くのお客様が気軽にプリント体験にチャレンジしてくれました。
自分でこれから始めようと、プリント材料から購入したいと考えている新人作家さんに、Tシャツプリント用のインクの事について紹介します。





インク素材紹介



Tシャツプリントはシルクスクリーン印刷という技法が一般的。
そのTシャツプリント用のインクを大きく分類すると2つあります。

プラスチゾル水性ラバーインクという2種類です。

◯主な組成
プラスチゾル:PVC(塩ビ)と呼ばれるプラスチックで、あのキン肉マン消しゴムと同じ素材。
水性ラバー:アクリル系エラストマー(ゴム性の樹脂)水溶性のため、乾いてなければ水で洗い流すことが可能

◯特性
プラスチゾル:アメリカのメーカーが機械による大量生産用として開発された。無臭で取扱は楽だが、熱乾燥が必要。
水性ラバー:日本古来の捺染から現代の衣料品向けに改良したインク。少し臭いがあり、自然乾燥するため取り扱いに注意が必要。

◯調色
プラスチゾル:基準となるカラーインク同士を混ぜ合わせる。
水性ラバー:ベースになる糊(バインダー)に対して、8%程のカラーの素になる顔料を混ぜ合わせる。

◯機械設備
プラスチゾル:自動のプリント機械を対象に考えられているが、手刷り用機械でも可能。インクが硬くプリントには圧力が必要。乾燥にトンネル式のベーキング乾燥機を使用する。これもアイロンプレスで代用可能。
水性ラバー:手刷りの捺染台を使用する。インクは一晩Tシャツを吊るして乾燥させる。シルクスクリーンの版の上でインクが乾いてしまうため、素早い作業を求められる。インクは柔らかく片手でプリントできるが、印刷の圧力やスピードによって印刷面の仕上がりが変わるため、職人技が求められる。

◯プリントの風合い
プラスチゾル:毛羽立った印刷面で、触り心地はザラザラ。
水性ラバー:ゴムのようなペッタリした印刷面。





ハンドメイドには水性ラバーインクがオススメとその理由


結論から言うと、ハンドメイドでTシャツプリントを始めるには水性ラバーインクがオススメ。

プロのTシャツプリント業界では、大規模な設備がある=大量印刷(1案件300枚以上)を得意とする工場はプラスチゾルが主流。中規模(50枚程度の小ロット案件が多い)の工場は水性インクが主流。もちろんどちらの設備も保有している工場もあります。



理由は生産性のみを考えると、やはり全てを機械任せにできるプラスチゾルインクに軍配が上がりますが、それには数千万円もする機械の投資が必要です。プラスチゾルを使ってなるべく手作業で行うこともできますが、乾燥作業がどうしても大変です。プロではなくてもハンドメイドで考えるとプラスチゾルをアイロン乾燥でやろうものなら、1枚5分以上じっくり当てて乾燥させるのは大変です。また、版や使用した道具の洗浄には、シンナーなどの有機溶剤を扱う事になります。水性インクの取り扱いは、インクを乾燥させないように気を使うことさえ慣れてしまえば割と楽です。インクは水で洗い流すこともできるので、家庭の設備を考えるとありがたいです。乾燥も干しておくだけ。

ただし、プリントする予定の枚数分Tシャツを並べて干して自然乾燥させる場所がない場合はプラスチゾルをオススメします。



プリントの仕上がりについてですが、なかなか違いを見分けることはできません。プロの目で見てようやくわかるレベルなので、そこまでこだわる部分ではないのかもしれません。どちらを選択したにせよ、ある程度の印刷技術で仕上がりが変わります。また、どちらのインクもいろんなバリエーションがあり、染み込みインクや発泡などの特殊インクも対応しています。

シルクスクリーンのプリント方法はDIYで作成するか、ちょっと予算があるようでしたらTシャツくんなどのシルクスクリーンキットがオススメです。これからのTシャツシーズンに向けてオリジナルTシャツを作ってみてはいかがでしょうか?(ちなみにTシャツくんの標準インクは水性ラバーです)





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