シルクスクリーン印刷の特徴

長所
インクが生地まで浸透し、しっかり定着するので、耐久性(洗濯堅牢度など)に優れる。
インクを変えれば、Tシャツ・ポロシャツ・パーカーなど対象物を変更できる。
プリントの工程そのものは低コストでスピーディーなので大量生産に向いている。
Pantoneや蛍光色など特定のインクが使える。
版が使い回せるので、追加は安い。



短所
インクの調色や、その扱いなど熟練の技術を要する。
大掛かりな水洗設備が必要。
プリントし始めるまでの準備がかかるのため、小ロットには不向き(コストがかかる)
多色刷り(色数の多いデザイン)は、色数分の版とプリントの工程が必要。

世に出回っているTシャツプリントの8割がシルクスクリーン

 従来からあるTシャツプリントの手法ですが、最も汎用性があり、多くのショップや工場で採用されています。最大の特徴は、インクと版を変えることで様々なウェア(綿・ポリエステル・鹿の子・ナイロン・帆布)の生地に対応できます。もちろんTshirt.stで取り扱っているほとんどの商品は、このシルクスクリーン印刷で対応できます。Tシャツ・ポロシャツ・パーカーなどを同じデザイン(共通の版)を同時にプリントすることで、版代を節約することでできます。ただし、パンツ(スボン)・トートバッグ・エプロンなど、形状の全く違った商品には版を共有することはできません。

 Tshirt.stではTシャツ・ポロシャツ・トレーナーには水性ラバーインクを使用しています。工場の設備の空き状況や大量生産の場合には、プラスチゾルと呼ばれるアメリカ製のインクを使用する事もあります。ポリエステル製のウェアにはブリード(昇華)と呼ばれる色移りの現象を防止するため、特殊なウレタン系の水性ラバーインクを使用します。インクジェット印刷(CMYK印刷)と比較して、指定の色そのもののインクを調色するため、発色の良い色も再現できるのが強みです。インクのご指定があれば、プラスチゾル・油性溶剤・水性(ラバー・半ラバー・染み込み)・発泡・蓄光・ラメ・箔・厚盛りといった特殊な表現も可能です。(別途お見積)

シルクスクリーン版について

 シルクスクリーン印刷には、1色ごとに”版”が必要です。この版を作るには大がかりな設備と技術が必要になるため、ご注文枚数が少ない場合は1枚あたりに掛かる版代(7000円ほど)が高額になります。そのため、当店ではシルクスクリーンは10枚以上から承っており、9枚以下はインクジェットをご案内しております。また、版を作成するのに工程がかかるため、通常での最短納期でプリントも含め5営業日をいただいております。

 一度、作成した版は何度も再利用が可能です。そのため1ヶ月後に追加注文したい場合でも、使い回すことができます。当店では追加注文を予定されているお客様に、版保管費用として1注文につき2,000円(税込)のオプション料金をいただいております。以降は初回ご注文から1年間版代なし(表記価格から1ヶ所1色7,000円(税込)割引)で追加のご注文が可能になります。

 版の保管については、版の耐久性(品質を保証できるレベル)の都合上、1年とさせていただいています。また、版そのものをお客様にお渡しすることはできかねます。お客様に販売する”版”というのは、お客様デザインの版を使用いただける権利です。版のアルミの枠などは、当店の設備の一部のためお譲りすることはできません。

 

シルクスクリーン印刷の一般的な工程

(1)製版(前準備)

四角いアルミの枠を用意し、紗張り機を使って紗(スクリーン)を張ります。接着剤で紗をアルミ枠に固定し不要な部分をカットします。これで住宅の網戸のような枠ができます。紗にペースト状の感光性乳剤をスクリーンに均一に塗り、乾燥機で仮乾燥させます。

(2)データ処理(分版)

お客様から頂いたデータをパソコンで色分け(分版)し、それぞれの版ごとの版下フィルムを印刷します。焼き付けの際に乳剤を溶かして穴を開ける部分が、版下フィルムの黒いデザイン部分になります。

(3)製版(焼き付け)

仮乾燥させたスクリーンに版下フィルムを密着させて、露光機で紫外線による焼き付け(露光)を行います。 版下フィルムの黒い部分は紫外線を遮り、またそれ以外の部分は紫外線で硬化します。 焼き付けが終わったら、スクリーンを水に漬け込み、硬化していない部分を溶かします。 最後にシャワーの水圧で洗い流し、乾燥させて版の完成です。

水性ラバーインクの場合、ベースとなるバインダーと呼ばれるインクに、それぞれの顔料カラーを混ぜて調色を行います。このバインダーを生地によって使い分けます。顔料カラーの配合のレシピはあるものの、微量の液体を扱うので熟練の技が要ります。

(5)印刷

Tシャツのサイズより若干小さい板に、弱粘性のシートもしくは糊を塗ります。板にプリント対象となるTシャツを着せてセットします。 版に適量のインクを乗せ、スキージ(ゴム製のヘラ)で掻き取るように擦って印刷します。 白Tシャツの場合、ほぼ1回の印刷で色が乗りますが、黒や濃色のTシャツに白などの明るいインクをプリントする場合には、1回の印刷の後、乾燥し重ね印刷を2、3回繰り返し色を乗せます。

(6)乾燥

プリントの表面が乾いたら、板から外し、一晩干して乾燥させます。 設備によってはトンネル式乾燥機で5分ほど乾燥させる場合もあります。

 

シルクスクリーン印刷の原理

シルクスクリーンとは、孔版画の技法の一種であり、
インクが通過する穴とインクが通過しないところを
作ることで版画の版を製版し、印刷する技法。(Wikipediaより)

Tシャツに限らずあらゆる素材に印刷することが可能で、道路標識などの看板や
工業製品のロゴマークなど生活のあらゆるシーンで見かけることができます。

一番身近なものではプリントゴッコ(20年ほど前に流行した年賀状の印刷機械)
が有名だと思います。

 

シルクスクリーンの技術的な仕様について

・インク

製品台:水性ラバー
回転台:プラスチゾル
(ナイロン素材のジャンパーについては油性インク)

 

・版

120#(デザインや素材によっては変更する場合がございます)