コレクション: Tシャツプリント加工方法の選び方

 Tシャツプリントの加工方法

初めてTシャツプリントを業者に依頼しようと調べてみると各業者、様々な加工方法のメニューがあり、どれが最適なのか初心者にはわかりません。
同じ加工方法なのに業者によっては価格が違うし、対応できる商品やデザインなどの条件もまちまちです。
業者の設備の違いや、得意不得意で提案される加工内容や価格が違ってくるためです。

とにかく安い条件を見つけて依頼したとしても、仕上がりがイメージと違って大失敗ということも。。。

そんなことを防ぐために、Tシャツプリントのスタンダードな加工方法を目的に合わせて解説します。
消費者目線で、目的に合わせた加工方法が分かれば業者をうまく使い分けることも可能です。



まず、大分類として4つの加工方法が挙げられます。
(1)シルクスクリーン
(2)転写(カッティング・インクジェット・シルク・昇華・トナー・DTF)
(3)インクジェット
(4)刺繍

 

Tシャツプリントの加工方法

それぞれの加工方法の特徴・用途・注意点を解説します。

(1)シルクスクリーン

 Tシャツプリントの加工方法(1)シルクスクリーン

昔ながらの衣類へのプリント方法で、汎用性も高く最も多く利用されています。
インクや版を使い分けることで、綿・ポリエステル・ナイロンなど様々な材質に印刷することができます。
インクそのものを調色して色を作りますので、蛍光など鮮やかな色も再現ができ、生地に直接インクが印刷されるため耐久性も高いのが最大のメリットです。

【用途】
シンプルな加工のため、初期費用として版代(6~8千円)はかかりますが、インク代そのものは比較的安価で100枚以上のような大量生産にコストと納期短縮のメリットがあります。大量生産の際にはシルクスクリーンの価格や納期を基準とお考えいただくのがセオリーです。
ハードな使用環境を想定される働く現場のユニフォームや、スポーツウェアへの印刷など耐久性を第一優先とお考えの場合はシルクスクリーンがおすすめです。
玄人になるとシルクスクリーンならではの特殊印刷(金銀蛍光・発泡・染み込み)の使い分けもできます。

【注意点】
苦手な分野はフルカラーの写真やグラデーションを含んだデザインです。
シルクスクリーンでの加工を前提とする場合は、シンプルなベタなデザインで企画されることをおすすめします。
小ロットの注文は版代を按分すると割高になります。業者によっては版を保管してもらうサービスもありますので、追加の際は安く作成することもできます。


(2)転写(カッティング・インクジェット・シルク・昇華・トナー・DTF)

Tシャツプリントの加工方法(2)転写 

フルカラーやグラデーションのデザインや、1枚〜数十枚の多色デザインのご要望などシルクスクリーンが苦手とするケースを補う加工方法として転写とインクジェットがあります。
転写は加工する素材や設備によって6種類(細分化するとそれ以上)に分けられます。
全てに共通する加工工程として、印刷しやすいメディア(シート)にデザインを印刷し、熱プレスなどでTシャツに貼り付ける(もしくはインクを移す)加工方法です。

【用途】
フルカラー・グラデーションのデザインを希望される場合、または1〜9枚の小ロットでのご注文は価格的に転写もしくはインクジェットの選択肢となり、綿100%以外のドライTシャツなどの加工は転写1択になります。
スポーツ系のユニフォームの背番号や名入れにも最適です。
写真やイラストを綺麗に印刷することを優先される場合はおすすめです。

【注意点】
デメリットとしては、シートがそのままTシャツに貼り付くため、通気性がありません。
ドライTシャツの場合、速乾性が失われますので、デザインのプリント面積を小さくするなどの配慮もあった方がいいと思います。(昇華転写に限ってはインクのみ転移し、生地に染み込むため通気性は良好です)
カッティング転写やインクジェット転写は機械でシートをデザイン形状にカットするため、細かいデザインが出来ません。
細かいデザインを再現するために、場合によっては生地色の縁を印刷して誤魔化す手段もあります。 最新のDTF(ダイレクトトゥフィルム)転写は細かいデザインも再現でき、仕上がりも柔らかいのでこれまでの転写のデメリットを改善することができました。



(3)インクジェット

 Tシャツプリントの加工方法(3)インクジェット

Tシャツ(綿100%)に前処理材(インク定着のための液体)を塗布した上で、業務用のインクジェットプリンタ(ガーメントプリンタ)で直接生地にインクを印刷します。
CMYKと白インクを使用して、色物のTシャツにもフルカラーのデザインを再現することができます。
転写と比較して、風合いは柔らかく、若干は通気性も良くなります。
最近ではドライTシャツへのプリントも可能になりましたが、対応する業者は多くはありません。

【用途】
転写と同様、フルカラー・グラデーションのデザインまたは小ロットでのご要望に対応します。
綿100%のTシャツに着心地重視の印刷を求められる場合におすすめです。

【注意点】
人体への害はありませんが前処理材の痕が目立つ場合があります。(機種やTシャツ品番カラーによって変わる)
金銀蛍光色の印刷は出来ません。
他の加工方法と比較してインク代が高額のため、面積が大きいデザインはコストが上がり、大量生産しても安くはなりません。



(4)刺繍

Tシャツプリントの加工方法(4)刺繍

Tシャツの加工方法としてはあまり使われませんが、ワンポイントの高級感としては唯一無二の存在感が出せる手法です。
糸はレーヨン(場合によってはポリエステル)のため、光沢があり立体的な表現が生まれます。
ワッペンもこの刺繍のジャンルに含まれます。柔らかい素材のTシャツへ、面積の大きな刺繍は固く着心地が悪くなるので、左胸や袖などのワインポイントに加工するのがおすすめです。
オリジナルのデザインを使う場合は、データの型代(パンチ代6~8千円)がかかります。
個人名や番号などを入れるネーム刺繍は、あらかじめ機械に登録されている文字データを使用するため、パンチ代はかかりませんが書体は限定されます。

【用途】
高級感、品のある雰囲気、他の印刷とは差をつけたいという時にはおすすめです。

【注意点】
刺繍代そのものもシルクスクリーンなどと比較して高額になります。
面積の大きなデザインには適しません。



まとめ


初めてTシャツプリントを業者に依頼したいと企画した段階で、何を重視するか?を決めておくのが最終的に成功の近道になります。価格なのかデザインなのか着心地なのか?
全ての加工方法に対応する業者もありますが、規模が大きすぎて小回りが効かず、納期がかかってしまったり。
設備があっても、注文時もしくはデザインの入稿時のコミニュケーションのミスでうまくいかなかったり。 オリジナルのカスタムオーダーの世界はまだまだ一般のお客様には敷居が高く感じます。

加工方法の得意不得意を見極めて、用途にあった選択をしていただく参考になればと思います。
また、お客様自身の知識で判断していただくことも重要ですが、業者のスタッフが「できない」「得意ではない」「◯◯のリスクがある」などネガティブな情報も正直に教えてくれるかどうかも業者選びには大事ですね。

プリント基礎コンテンツ
(1)Tシャツプリントの4つの加工方法について
(2)生地の素材別の対応プリント方法
(3)Tシャツプリント失敗・トラブルの落とし穴3選
(4)中学生・高校生クラスTシャツ最前線
(5)SDGsとTシャツプリント



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